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転換期の作家・李良枝(イヤンジ)

 小説「ナビタリョン」が雑誌『群像』11月号に発表されたのは1982年、李良枝27歳の衝撃的なデビューだった。それは、「帰化」した家族の崩壊した家族関係のなかから、「自分らしさ」を求めて模索し、煩悶する若い女性の姿を映し出していた。主人公の愛子は韓国に留学して伽倻琴と韓国舞踊をならい、戸惑いながらも韓国人としてのアイデンティティを見つけようとする。この小説はアイデンティティ確立の過程を描いたドラマだった。
 李良枝が登場したのは、在日朝鮮人作家李恢成が芥川賞を受賞した1972年から10年後。その間金石範・高史明・金鶴泳ら第二世代在日朝鮮人作家たちが華々しく活躍していた。彼らは当時の日本文学が濃密な心理描写によって内側を凝視した「内向の世代」と言われたの対して、その強い社会性や歴史的視野が注目されていた。
Photo(林浩治「転換期の作家・李良枝」 『神奈川大学評論』第47号2004年3月31日)

この論文は2019年発行の、林浩治『在日朝鮮人文学 反定立の文学を越えて』(新幹社)に収録されました。本文はそちらをご覧いただければ幸甚です。

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